映画・ドラマ感想 | 『夏の砂の上』
ごきげんよう、式部です。
先日『夏の砂の上』という映画を鑑賞したので、その感想です。
ネタバレを含んでいる為、気になる方はご注意ください。
natsunosunanoue-movie.asmik-ace.co.jp
あらすじ
雨が一滴も降らない、からからに乾いた夏の長崎。
幼い息子を亡くした喪失感から、幽霊のように坂の多い街を漂う小浦治(オダギリジョー)。
妻の恵子(松たか子)とは、別居中だ。この狭い町では、元同僚の陣野(森山直太朗)と恵子の関係に気づかないふりをするのも難しい。働いていた造船所が潰れてから、新しい職に就く気にもならずふらふらしている治の前に、妹・阿佐子(満島ひかり)が、17歳の娘・優子(髙石あかり)を連れて訪ねてくる。おいしい儲け話にのせられた阿佐子は、1人で博多の男の元へ行くためしばらく優子を預かってくれという。こうして突然、治と姪の優子との同居生活がはじまることに……。
高校へ行かずアルバイトをはじめた優子は、そこで働く先輩の立山(高橋文哉)と親しくなる。懸命に父親代わりをつとめようとする治との二人の生活に馴染んできたある日、優子は、家を訪れた恵子が治と言い争いをする現場に鉢合わせてしまう……。
*1
感想
完璧にキャスト目当てで観に行った映画だったので、失礼ですが予備知識なし、期待感も50%程度で観に行った映画でしたが、個人的には今年1番と言える作品でした。
私がとにかく良いと思えた理由は、あまりにリアル(現実っぽさ)を感じるからです。
私がリアルを感じた点は下記3点です。
1:長崎の景色、映像の切り取り方
この映画では坂の登り降りシーンがやたらと映されていますが、
実際に長崎で撮影していることからかなりリアルに長崎の景色を感じられます。
また、広角やドローンなどの撮影方法で坂の勾配を見せることもできますが、
そういった切り取り方はせず、登り降りする人の物理的位置関係で人間関係や感情を表現しているのがリアルだと感じました。
特に優子と立山の関係性は、微妙にいつも優子が優位にあり、どこか線引きされているのが画面から伝わってきました。
あと、やっぱり長崎の景色綺麗だなぁ、、
2:田舎への幻想のなさ
この物語に登場する人物は、どこか「あ、いるいるこういう人」とかなり身近に感じます。私が舞台と長崎と同じ九州出身だから、という理由もあるかも知れませんが、
登場人物全員に対して、「親戚にこういう雰囲気の人いるなぁ」と感じました。
特に主人公の治のような、「今どんな仕事に就いているか良くわからない、いつもタバコを吸っていて、インフラ系・製造系の人と仲の良いおじさん」は結構身に覚えがあります。(私が田舎出身なだけかもですが、、)
満島ひかりが演じていた治の妹・阿佐子の「中洲に店出す」もめちゃくちゃ聞いた事ある台詞だなぁと”九州あるある”を実感しました。
私個人として、どうしても田舎への幻想のある作品が苦手なのですが、
今回の作品は解像度が高く、入り込みやすい作品でした。
(田舎のちょっと野暮ったい元気系女の子が、主人公(男の子)をマジカルパワーで助けてくれる系が若干苦手です。ちょっと田舎の女の子に対して幻想を抱きすぎだなぁと感じてしまいます。)
松たか子が長崎弁を喋っているのは、若干面白さがありましたが、、
(声が綺麗すぎて、長崎弁のフランクな感じとのギャップがすごかったです。
あんな綺麗に喋る長崎県民はきっといません。笑)
3:ストーリーの日常感
この作品はストーリーを通して、劇的な変化やシーンが少ない映画です。
物語のターニングポイントはありますが、あくまで日常の地続きとなっている気がします。登場人物たちの人生の一部を切り取ったにすぎず、誰でも「あんな事あったね」と言えるような出来事しか起こりません。
例えば、マーベル映画のように悪の組織に地球が滅ぼされそうになったり、
ホラー映画のように幽霊が見えたり、日本ラブコメのように急に御曹司に付き纏われたり、といったファンタジー性の強い作品ではありません。
とにかく日常感、現実っぽさを感じる作品です。
音楽も音色の少ないものが多く、大袈裟でないので音量を気にすることなく観れたのも、作品の日常感を壊さず鑑賞できました。
日常っぽさありながら、優子を演じ髙石あかりの透明感によって、どこか儚さや非日常感も感じます。「白く光って、私も消えてしまいたい」という優子の台詞がありましたが、本当にふわっとどこかへ消えてしまいそうな、一夏の幻のような、不思議な存在感が印象的でした。
キャストは豪華でしたが、それに反してとにかく入りこみやすい作品でした。
監督やキャストのインタビューも面白かったので、気になる方は読んでみてください。
www.cinra.net
それでは、、
*1:公式Hpより引用