式部日記

多趣味人間の雑記。

映画・ドラマ感想 | 『花とアリス』

ごきげんよう、式部です。

先日映画『花とアリス』を鑑賞したので、今回はその感想です。

ネタバレを含むため、気になる方はここでUターンして下さい。

 

Amazon.co.jp: 花とアリスを観る | Prime Video

 

概要

2004年公開、監督岩井俊二による日本映画。

長編、短編の2つが存在し、岩井俊二本人によるコミカライズ作品が出版され、2015年に前日譚となる関連作品『花とアリス殺人事件』がアニメーション映画化された。

 

キャスト・スタッフ

荒井花:鈴木杏
有栖川徹子:蒼井優
宮本雅志:郭智博
黒柳健次:平泉成
堤ユキ:木村多江
有栖川加代:相田翔子
加代の連れの男:阿部寛
編集者現場担当:広末涼子
リョウ・タグチ:大沢たかお
池田沙織:伊藤歩
楠木れんこ:ふせえり
洩津当郎:坂本真
部活見学受付:池永亜美
文化祭司会:相坂真菜美
佐藤拓哉:石川伸一郎
アリスの同級生:篠原さや
荒井友美:キムラ緑子
オーディション演技審査:中野裕之
オーディション演技指導:大森南朋
演技オーディション参加者:虻川美穂子
「サルとルー」面接官:森下能幸
ルー大柴ルー大柴
室伏エリカ:アジャ・コング
CM撮影スタッフ:梶原善
CM撮影スタッフ:笠原秀幸
叶美香叶美香
泣きの演技指導者:吉岡秀隆(声のみ)
医者:テリー伊藤
町田梓:松田一沙
HARUMI:松尾れい子
双子のモデル:児玉真菜
矢上風子:黒澤愛
デイヴ:Dave Lee(デイヴ・リー)
祭りのおじさん:城明男
修行する外人:Nnikolai Iensen(ニコライ・イェンセン)
修行する外人:Luis Cerda(ルイス・セレダ

 

監督・脚本・音楽・プロデューサー:岩井俊二
撮影監督:篠田昇
撮影:角田真一
美術:種田陽平
照明:樋浦雅紀、中須岳士
録音:岸直隆、益子宏明
スチール:アイビー・チェン
視覚効果:伊藤太一
スタイリスト:申谷弘美
バレエ指導:千歳美香子
落語指導:古今亭菊之丞
アソシエイトプロデューサー:前田浩子
ラインプロデューサー:中山賢一

 

感想

所謂「恋か友情か?」みたいなストーリーではあるが、所々に歪を感じる作品。

特にアリスサイドは、離婚や家の散らかり具合、母親の男癖など、その歪を顕著に感じた。

アリスは家庭内においても、恋愛においても誰かに譲ってしまい、自ら何かを欲しがることをあきらめているようにも見えた。

だからこそ、海辺のシーンでハートのエースを見つけた事が、アリスにとっては最大のラッキーであり、チャンスであったのだろう。

 

一方花には精神的な歪さを感じた。

物語の終盤で明かされるが、アリスが花をバレエ教室に誘い出すまで、花は不登校状態で人とかかわる事を苦手としていた。

先輩へのアプローチも上手にできず、盗撮や度々嘘を重ねたりと人との関わりでやってはいけない事をコンプリートしにいっている。

大げさな嘘をつく所から、虚勢や自分への自信のなさも伺える。

先輩に過去の事を聞かれた際も、まるで第三者が語るかのような口調で話しており、明らかな嘘をつく所も関心した。

 

だからこそ、花が宮本先輩に嘘を告白し宮本先輩がそれを受け入れた時はかなり驚きました。

そもそもで宮本先輩は花の事を生理的に少し苦手な状態であったし、

「先輩は記憶喪失だ」「自分は先輩の彼女だ」などの大嘘をつかれたら普通にその時点で嫌悪感を抱くものだと思う。

(私が宮本先輩の立場なら、花の事を心底気持ち悪く感じ拒否すると思う。)

宮本先輩に関しては、変な夢をみたり度々幻覚で倒れるシーンもあったので、花やアリスとはまた違った不安定さがあり、だからこそ花の事も受け入れたのかなぁと解釈しました。

 

ストーリーにはあまり惹かれませんでしたが、やはり映像の美しさや所々に感じられる歪に人間らしさを感じる作品でした。

コミカライズやアニメーションなどの関連作品もでているので、

そちらも鑑賞するとまた違った観方ができるかも知れないですね。

それでは、、

 

 

映画・ドラマ感想 | 『パーフェクトブルー』

ごきげんよう、式部です。

先日映画『パーフェクトブルー』を鑑賞したので、今回はその感想です。

ネタバレを含んでいる為、気になる方はここでUターンして下さい。

 

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概要

1997年公開、監督今敏によるアニメーション映画。

竹内義和の小説『パーフェクトブルー-完全変態』を原案としているが、内容は大きく異なる。

 

キャスト・スタッフ

霧超未麻:岩男潤子

日高ルミ:松本梨香

手嶋:秋元洋介

渋谷貴雄:塩屋翼

桜木健一堀秀行

落合恵理:篠原恵美

監督:染田清之

AD:津久井教生

田所:辻親八

矢田:古澤徹

雪子:古川実子

レイ:新山志保

内田守:大蔵正章

村野:江原正士

土井正:陶山章央

電脳戦士パワートロン:遠藤孝一(レッド)、保志総一朗(グリーン)、谷山紀章(ブルー)

タク:三木眞一郎

サラリーマン:細井治

子ども:田野恵、本井英美

レポーター:南かおり北野誠

司会者:ショッカーO野

 

監督・キャラクターデザイン:今敏

脚本:村井さだゆき

企画:岡本晃一、竹内義和

企画協力:大友克洋、樋口敏雄、内藤篤

プロデューサー:中垣ひとみ、石原恵久、東郷豊、丸山正雄井上博

キャラクター原案:江口寿史

演出:松尾衡

作画監督・キャラクターデザイン:濱州英喜

色彩設計:橋本賢

美術監督:池信孝

撮影監督:白井久男

音楽:幾見雅博

音楽プロデューサー:斎藤徹

音楽A&Rプロデューサー:堀正明

振付:IZUMI

音楽監督三間雅文

音響効果:倉橋静男(サウンドボックス)

制作総指揮:鷲谷健

アニメーション制作:マッドハウス

 

感想

主人公未麻がアイドルから女優に転身してから、未麻の周りに次々と殺人事件が起こっていくサスペンス。

本編の中に登場するドラマ『ダブル・バインド』が、本編のストーリーを辿るような入れ子構造になっており、現実なのか?夢なのか?ドラマの中の出来事なのか?混乱するような演出が面白い。

殺人に未麻も関与しているのではないか?

ラストの未麻の「私は本物だよ」の意味は何か?

ラストの鏡に映った未麻は本物か?

など様々な疑問が残ります。

 

私がこの映画を観て思い出したのが、「自分の存在は自分自身で『私は私である』と決定しなければ存在しない。浮遊した存在である」という説です。

 

未麻はドラマ『ダブル・バインド』の内容や置かれた状況から、自分が本当に朝霧未麻なのか?と疑心暗鬼になっていました。

又、”アイドルの未麻”(過去、ヴァーチャル)と”女優の未麻”とのギャップから、どちらが本当の自分なのか?と答えを出したがっていたようにも思います。

従って、『私は私である』と決定できず、存在が浮遊した状態だったのではないでしょうか?

そう考えると、ラストの台詞である「私は本物だよ」は、やっと自己の存在を自分で認識したという意味かも知れません。

 

デカルトの『方法序説』の命題「我思う、故に我在り」にも少し似ていますね。

(「自分は本当は存在しないのではないか?」と疑う自分自身は確かに存在する。考える私は確かに存在する。コギト)

 

一方ルミの視点から連想したのが、藤本タツキ先生の漫画『ファイアパンチ』に登場する台詞「人はなりたい自分になってしまう」です。

 

[1話]ファイアパンチ - 藤本タツキ | 少年ジャンプ+

 

ルミは”アイドルの未麻”を理想とし、自分と重ね合わせ演じていた。

(webサイト「未麻の部屋」はルミが運営していた事から、ルミが多少なりとも未麻を演じていたと言える。)

「なりたい自分=アイドルの未麻」を演じる内に、本当にアイドルの未麻に成り代わってしまうというのは、漫画『ファイアパンチ』でも似たような事が起きていた。

(ファイアパンチ内では、一部演じさせられていた部分もありますが、)

 

2人体制になったCHAMのステージに、突然”アイドルの未麻”が登場するシーンがありますが、このシーンでの未麻はルミだったのではないかと思います。

 

「なりたい自分」や「現実との乖離」、「自己存在認識」など面白いテーマが盛り込まれている映画だったので、様々な思想論などを基に読みといてみるのも面白いかも知れません。

更に、「夢と現実」というテーマも加わっているので、夢分析精神分析的な観点から鑑賞するとまた違ったものが見えてきそうです。

それでは、、

映画・ドラマ感想 | 『東京ゴッドファーザーズ』

ごきげんよう、式部です。

先日映画『東京ゴッドファーザーズ』を鑑賞したので、今回はその感想です。

ネタバレを含んでいる為、気になる方はここでUターンして下さい。

 

amzn.to

 

概要

英題:Tokyo Godfathers

2003年公開、監督今敏によるアニメーション映画。

 

キャスト・スタッフ

ギン:江守徹

ハナ:梅垣義明

ミユキ:岡本綾

清子:こおろぎさとみ

太田:飯塚昭三

母さん:加藤精三

泰男:石丸博也

老人:槐柳二

ミユキの父:屋良有作

幸子:寺瀬今日子

ギンの娘(キヨコ):能登麻美子

医者:大塚明夫

新郎:小山力也

胡蝶沢:犬山犬子

山之内:矢原加奈子

猫ババ:柴田理恵

タクシー運転手:山寺宏一

 

原作・監督・絵コンテ:今敏

企画:丸山正夫

脚本:信本敬子今敏

キャラクターデザイン:小西賢一今敏

演出:古屋勝悟

作画監督小西賢一安藤雅司井上俊之

美術監督:池信孝

美術監督補佐:猪田薫、伊奈淳子

色彩設計:橋本賢

色彩設計補佐:鳥形昌子

撮影監督:須貝克俊

編集:瀬山武司、木村佳史子

タイトルロゴ::山下京子

音楽:鈴木慶一ムーンライダーズ

音楽制作:エガリテ ムーンライダーズ ディビジョン

音楽監督三間雅文

音響効果:倉橋静男

キャスティングマネージャー:柏倉ツトム

録音スタジオ:アオイスタジオ

音響制作:テクノサウンド

制作プロデューサー:豊田智紀

制作進行:吉野智美、渡邊和夫、高橋亮

アニメーション制作:マッドハウス

プロデューサー:小林信一、滝山雅夫、真木太郎

アソシエイトプロデューサー:増田弘道、森島太郎、千野毅彦、横山真二郎、神部宗之

 

感想

今敏作品にしてはファンタジー要素が少ない作品。

”家族”が大きなテーマとなっており、様々な家族の在り方が描かれていた。

個人的感想として、清子(捨てられた赤ちゃん)は本当に運が良かった訳ではなく、

周囲の人間が清子に愛を与えていたから運が良く見えたのだと思う。

つまり、周囲の清子に対する肯定感、捉え方が幸福であっただけである。

清子が本当に運が良く神に愛されていたなら、そもそも本当の母親から盗まれたりしないし、拾われたのもホームレスではないはず。

清子の状況だけみれば不幸だとも言える。

清子を拾ったホームレス3人も、清子に出会ったことで度々事件に巻き込まれている。

しかし、ハナ(ホームレスの1人)が「きっと神様に愛されている」「愛をいっぱい受けてほしい」と願い、ギンとミユキもなんだかんだ清子の事を大切に思って行動していた故に、”不幸中の幸い”を何度も経験し、それを”幸運”であると感じたのだ。

なんとなく心温まるストーリーとコミカルな展開が特徴的な本作品だが、

「すべての子どもたちは幸福になる為に生まれてきた」と感じさせてくれる作品でもあった。

 

またクリスマスの時期に観返したい作品です。

それでは、、

 

 

 

改めて『無罪モラトリアム』を聴く。

ごきげんよう、式部です。

先日2月24日に椎名林檎のアルバム『無罪モラトリアム』発売から25周年が経ちました。

 

natalie.mu

 

という事で、今回は改めて『無罪モラトリアム』を聴いていき、自分なりの感想などを述べたいと思います。

発売当時の事など知らない事も多いので、随時Wikipediaページ 無罪モラトリアム - Wikipedia

などwebサイトを参考にしています。

 

概要

発売日:1999年2月24日

収録時間:41分00秒

椎名林檎ファーストアルバム。10代の頃に制作された曲で構成されたアルバムとなっている。

 

アルバムコンセプト

人として真面目に生きていこうとする以上、社会に適合できないモラトリアムな瞬間はきっと誰にでもあり、それも無罪であると主張したいという思いが込められている。

 

アートワーク

ジャケットデザイン・アートディレクター:木村豊

www.central67.com

 

ジャケット写真を自分が完全に浮いてしまっている場所で撮りたいと思っていた椎名林檎が「裁判所などで弁護士が『無罪』や『勝訴』という文字が書かれた幡(ハタ)を関係者たちに囲まれて掲げているところに自分がポツンといたら面白いのでは」というアイデアを出し撮影された。

幡の題字は椎名林檎本人の字。

 

レコーディングについて

ディレクション椎名林檎本人とベーシスト亀田誠治

シンプルなバンドサウンドで、主に2つのバンドを編成し使いわける手法。楽曲に応じて、必要なストリングスなどを追加している。

基本的には「バンド演奏による一発録り」で現場のセッション形式を、そのままパッケージ化。

 

絶倫ヘクトパスカル

声、生ドラム(M-2)、手、口笛:椎名林檎

電気式ギター、生ギター:西川進

電気式ベースギター:亀田誠治

生ドラム(M-1、3-11)、超え、手:河村智康

M-1、2、4、6、8、11

 

桃色スパナ

声、なんちゃって御琴、口笛:椎名林檎

電気式ギター、生ギター、声指導:鈴木玲史

電気式ベースギター:亀田誠治

生ドラム、すべからくコンガ:河村智康

→M-5、7、9、11

 

絶叫ソルフェージュ

声、生ピアノ、けんばんハーモニカ、手足:椎名林檎

電気式ベースギター、声:亀田誠治

生ドラム、声、手足:河村智康

→M-3

 

ゲスト

電子ピアノ(M-1、10)、ピアノ(M-5):森俊之

ヴァイオリン(M-9):斎藤ネコ

ストリングス(M-1、5):金原千恵子ストリングス

電子ピアノ(M-8):矢代恒彦

 

収録曲

open.spotify.com

 

MV

youtu.be

 

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感想

全体を通して

やはり椎名林檎10代の集大成アルバムであるため、少女が女性になる間、その葛藤みたいなのを感じる。

又、上京物語のようなものも感じ、「正しい街」=地元(福岡)で別れを経験し、

歌舞伎町で声を掛けられたり、丸の内で安月給で働いたり、

想像していたような東京ではなく、

自己実現できない自分に焦燥感を感じながら、地元にいた頃と「同じ夜」を繰り返す。

というストーリーを連想してしまいます。

 

M-1:正しい街

「君が周りを無くした~」というBメロから入ってくる警告音のようなギター?の音が滅茶苦茶好きです。

歌詞も相まってお互いのエゴをぶつけあう様子が、この音によって強調されているように感じます。

 

M-2:歌舞伎町の女王

イントロや歌詞から昼ドラが始まったかのような雰囲気が特徴的です。

椎名林檎のストーリーライター的な能力が光る1曲だと思います。

イントロなど特徴的なリフをギターが引っ張り、Aメロでベース、Bメロあたりからドラムが乗ってくるという構成。

 

M-3:丸の内サディスティック

初めて聴いた時、サディスティックとタイトルについているのに、

逆にマゾヒスティックな曲じゃないか!!と若干憤っていました。

只、丸の内マゾヒスティックだと格好つかないし、丸の内という街やそこでの生活に鞭うたれているという意味のサディスティックなのかな、と勝手に解釈しています。

間奏のベースソロ痺れます。。

 

M-4:幸福論-悦楽編

とにかく歌詞が可愛い。シングルとは異なるアレンジでアルバム収録されていますが、個人的にはシングルの方が可愛らしくて好きです。

謎の絶叫やカウントが終盤で入るのだが、少し狂気的にも聴こえる。

”悦”楽とついているように、自己満足な幸福(悦に浸っている状態)を表現しているのかも知れない。

 

M-5:茜さす 帰路照らされど...

アルバムの中でこの曲が1番好きって方も多いのではないかと思う。

「ヘッドフォンを耳に充てる ファズの利いたベースが走る」という歌詞が、リスナーとリンクする二重構造のようになっていて面白い。

又、歌詞も曖昧な表現しかなく、様々な人に当てはまるようになっている。

とにかくなんとなく切ない、ゆっくりと沈む夕焼けのような曲。

 

M-6:シドと白昼夢

個人的にはかなり好きな曲。

同アルバム『同じ夜』の歌詞内に「自己実現」という言葉が出てくるが、

この曲こそ「自己実現」を表した曲ではないか?と思う。

子どもの頃って何となく夢見がちで、他人と自分の境界が曖昧であるが、

思春期を通じて自己の輪郭が見えてくる。

自己と他者の違いを認識する。

サビの「あなたの髪を切らなきゃ」は早く白昼夢から抜け出せ、と言われているようにも聴こえます。

 

M-7:積木遊び

ベースイントロと間奏部分のなんちゃって御琴(シンセサイザー)が格好良い。

LIVEでも振付あったり、音作りや歌詞も遊び心に溢れており面白い楽曲。

なんとなく芸者さんの遊びを連想させます。

 

M-8:ここでキスして。

全体を通して可愛らしい歌詞ですが、特に1番Aメロ2番Bメロの歌詞が好きです。

1番A「あたしは絶対あなたの前じゃ さめざめ泣いたりしないでしょ

これはつまり常に自分がアナーキーなあなたに似合う為」

2番B「そりゃ あたしは綺麗とか美人なタイプではないけれど こっち向いて」

ちょっと自信のない感じや強がり、背伸びしている感じが伝わってきて可愛いです。

又、「アナーキーなあなた」「現代のシド・ヴィシャス」などのワードから、あなたの性格に想像を膨らませる事もできます。

 

M-9:同じ夜

ヴァイオリンの音による哀愁やノスタルジーを感じる1曲。

「空は明日をはじめてしまう 例えあたしが息を止めても」という諸行無常が描かれており、同じ夜の中で変化する人間の心のうつりかわりにハッとする1曲です。

 

M-10:警告

ギターのリフが格好良い、

最後のワンフレーズ「「馬鹿にしないで」って云いたい」が、山口百恵さんの「プレイバック」を連想してしまいます。

 

M-11:モルヒネ

モルヒネは、アヘンから生成される麻薬性鎮痛薬の事であり、主に医療行為で使われます。麻薬の1種であるため、製造や使用方法、所持についても法律で決められています。

やわらかな曲調とは対照的に、意味深なタイトルや歌詞。

様々な解釈のできる歌詞ですが、脳の中に麻薬物質を排出する事で、なんらかの「痛み」を鈍らせているという事だけ理解できます。

個人的解釈としては、「大人の女性になった曲」もしくは「貴方の自殺」ではないかと考えています。

(※正解は作った本人にしか分かりませんし、それぞれ好きな解釈で良いと思います。)

 

改めて

改めて全体を通してしっかり聴いてみると、新しい発見や今までとは違った解釈ができて楽しかったです。

特にアルバムの終盤に入っている『同じ夜』『モルヒネ』などは、なんとなく良い曲だなぁと聞き流しがちだったので、今回しっかり歌詞カードを見ながら聴いてみて、また曲の印象が変わりました。

 

それでは、、

 

P.S

無罪モラトリアム』発売25周年を記念して書かれたインタビュー

発売から25年。椎名林檎『無罪モラトリアム』はなぜ衝撃と呼ばれたのか─亀田誠治が語る「ないがち」な革命 | J-WAVE NEWS では、アルバム制作を一緒に行った亀田さんからの視点が語られていて、ほっこりします。

 

 

 

 

 

 

 

ドラマ・映画感想 | 『恋する惑星』

ごきげんよう、式部です。

先日映画『恋する惑星』を観たので、今回はその感想です。

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概要

原題:重慶森林

1994年公開、監督ウォン・カーウァイによる香港映画。

舞台は香港の九龍、尖沙咀にある雑居ビル・重慶大厦。

この映画がアメリカの映画製作者クエンティン・タランティーノに評価され、アメリカでの配給権を獲得した。

 

キャスト・スタッフ

警察663号(店主は633と呼ぶ):トニー・レオン

フェイ:フェイ・ウォン

謎の金髪女性:ブリジット・リン

モウ:金城 武

スチュワーデス:チャウ・カーリン

 

監督・脚本:ウォン・カーウァイ

製作:ジェフ・ラウ

製作総指揮:チャン・イーチェン

美術:ウィリアム・チャン、アルフレッド・ヤウ

編集:ウィリアム・チャン

   カイ・キットウァイ

   クォン・チリョン

撮影:クリストファー・ドイル

   アンドリュー・ラウ

音楽:フランキー・チェン

   ロエル・A・ガルシア

   マイケル・ガラッソ

 

感想

2部構成になっており、どちらも”期限”がテーマであったように思う。

1部では、”愛の賞味期限切れ”。

2部では、”期限の延長”。

1部で出てきた賞味期限というイメージが、2部では搭乗日という未来のイメージになるのもおしゃれです。

 

キャストで印象に残ったのは、1部でモウを演じた金城武さん。

本編中にいくつかの言語を使いこなしているのが印象的でした。

物語の舞台である香港は広東語が広く使用されていますが、

1部で出てきた金髪の女性に話しかける際北京語に変えたのも、

香港映画ならではだなぁと感じました。

 

又、ウォン・カーウァイ監督の別作品『天使の涙』は、

本来『恋する惑星』の一部として考えられたストーリーらしく、

そちらとの繋がりも気になるところです。

 

それでは、、

 

 

 

 

映画・ドラマ感想 | 『スワロウテイル』

ごきげんよう、式部です。

先日映画『スワロウテイル』を観たので、今回はその感想です。

 

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概要

1996年9月14日公開、監督岩井俊二による映画。

架空の街YEN TOWNを舞台としており、本編では日本語、英語、中国語など様々な言葉をごちゃまぜに使用し、様々な人種が入り混じる様子を表している。

監督岩井俊二により、映画の前後について書かれた小説『スワロウテイル』も発売された。

更に、作中に出てくるYEN TOWN BANDによるサウンドトラック『MONTAGE』も同名義で発売。

 

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キャスト・スタッフ

グリコ:CHARA

アゲハ:伊藤歩

ヒオ・フェイホン:三上博史

リョウ・リャンキ:江口洋介

ラン:渡辺篤

アーロウ:シーク・マハメッド・ベイ

ニハット:アブラハム・レビン

レイコ:大塚寧々

ホァン:小橋賢児

ツェン:顧暁東

マオフウ:アンディ・ホイ

ワン・シャオシェン:翁華栄

チュンオン:楊鍵宇

YEN TOWN BAND関係者

星野:洞口依子

デイヴ:ケント・フリック

本田:田口トモロヲ

楠木:鈴木慶一

須藤寛治:塩見三省

葛飾組組長:渡辺哲

シェンメイ:山口智子

ロリータ店長:酒井敏也

浅川:武発史郎

ロック・ドク:ミッキー・カーチス

鈴木野清子:桃井かおり

バンドメンバー(映画内)

ギター:ブライアン・バートンルイス

サックス:カーク・D・ハバード

ピアノ:カレブ・ジェイムズ

ベース:アリ・モリズミ・MTV

ドラム:C. J.

ギター:ダニエル・グルーンバウム

オーディション参加者として

ROLLYクリス・ペプラー

CD

ボーカル:CHARA

キーボード、ギター、、プロデューサー:小林武史

ギター:名越由貴夫

作詞、コンセプト統括:岩井俊二

レコーディングでの演奏者は楽曲ごとに異なる。

 

監督:岩井俊二

脚本:岩井俊二

製作:河井真也

   和田倉和利

   久保田修

   前田浩子

音楽:小林武史

撮影:篠田昇

編集:岩井俊二

 

感想

現在の日本にこそ、必要な映画だと感じました。

格差社会と言われる現在の日本で、格差によりどのような事が起こりうるのか?

貧困とは何か?金(円、資本主義)の力など、物語を通じて問題提起しているようです。

 

円の力を求め、YEN TOWNにやってくる円盗(イェンタン)。

そこで働く人々は、汚れ仕事や危ない仕事をしている。

住環境なども清潔とは言えない。

誰だってこんな環境にいたいとは思わないだろう、

しかし、お金の為にYEN TOWNで暮らしている。

 

親が円盗(イェンタン)であったアゲハは、YEN TOWNの中で生きていくことしかできない。YEN TOWNを抜け出すにも、ここで働き金を手にするしかない。

 

思わぬ方法で金を手にしたアゲハたちであったが、その幸せは長く続かず、偽札及びそのテープを巡り、度々事件に巻き込まれる。

グリコはスターとなり、アゲハ、フェイホンとは離れ離れ。

フェイホンは逮捕され、その後偽札を巡り死亡する。

YEN TOWN CLUBも失い、3人がバラバラになってしまう。

金を手にしYEN TOWNを抜け出したはずなのに、幸せになれない。

 

アゲハがYEN TOWN CLUBを取り戻そうとしたことからも、3人一緒にいたライブハウスこそが幸せの空間であったとわかる。

お金をもってしても、幸せの空間(YEN TOWN CLUB)を取り戻せないアゲハ。

 

「幸せに暮らすにはお金がいるが、お金だけでは真の幸せにはなれない。」という暗示にも見える。

今一度、資本主義を見直すきっかけになる作品でもあると思う。

 

考え事ばかり述べてしまったので、演出面キャストにも少し触れます。

キャストで特に印象に残ったのが、アゲハを演じた伊藤歩さん。

主人公アゲハの存在感は、透明に近いグレーって感じ。

憂いや哀しさも垣間見えるのに無垢な感じや、ストレートな黒髪が美しい。

岩井作品の光と相性が良すぎます。

 

そしてなんと言っても音楽が良すぎる。

ライブハウスでCharaが歌唱していた「Mama's alright」

英詞である事によって、YEN TOWNならではの異国感もありますし、

ちょっと気怠い感じも最高です。

 

「上海ベイベ」は日本詞であるため、グリコがレコード会社に移ってからプロモーションや方向性が変わった事が明らかなのも良いです。

 

それでは、、

 

 

映画・ドラマ感想 | 『パリ、テキサス』

ごきげんよう、式部です。

先日映画「パリ、テキサス」を鑑賞したので今回はその感想です。

ネタバレを含んでいる為、きになる方はここでUターンして下さい。

 

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概要

英語原題:Paris,Texas,

1984年公開、監督ヴィム・ヴェンダースによるロード・ムービー。

ドイツ・フランス合作映画。

 

キャスト・スタッフ

ラヴィスハリー・ディーン・スタントン

ガソリンスタンドの男:サム・ベリー

ウルマー医師:ベルンハルト・ヴィッキ

ウォルト:ディーン・ストックウェル

アン:オーロール・クレマン

カーレンタル職員:クラッシー・モビリー

ハンター:ハンター・カーソン

ハンター(3歳):ジャスティン・ホッグ

テレビの中の女:ヴィヴァ

カメリタ:ソコロ・ヴァンデス

ジェーン:ナスターシャ・キンスキー

 

監督:ヴィム・ヴェンダース

脚本:L・M・キット・カーソン

   サム・シェパード

製作:クリス・ジーヴァニッヒ

   ドン・ゲスト

製作総指揮:アナトール・ドーマン

音楽:ライ・クーダー

撮影:ロビー・ミューラー

編集:ペーター・プルツィゴッダ

 

感想

映像に対して台詞の少ない作品です。

主人公のトラヴィスが前半はほぼ喋らない事もあって、無言のシーンや目線のみのシーンが多めです。

147分のそこそこ長尺映画なので、眠たい時に観るのはお勧めできません。笑

 

ストーリーに関しては、観る人の立場によって賛否が分かれそうな作品だなと感じました。

個人的にはトラヴィスに対して、「愛ゆえとはいえ、結局元妻に子どもを押し付けて、自分はどこかへ消えるのね。」という気持ちになりましたが、それは現代を生きる一女性の意見でしかないので、、

「男は黙って去っていく」を美学とするアメリカ西部劇な要素を本作品には盛り込んでいる為、現代的価値観とは相容れないはずです。

 

演出面ではやはり、トラヴィスとジェーンが再開するのぞき部屋(マジックミラールーム)が見所でしょう。

鏡を隔てている事で、”相手と会話しているつもりだが見えているのは自分自身”という不思議な感覚や実際には相手の事(顔)が見えていないという人間同士の隔たりを感じる演出です。

ミラーを利用したトラヴィスとジェーンの顔が重なっていく所は特に印象的です。ここでやっと2人の思いが通じたことがうかがえますね、

 

因みに、タイトルになっている「パリ、テキサス」のパリはフランスのパリではなく、「テキサス州のパリス」という地域だそうです。

同じ綴りなのに一方は花の都、一方は砂漠の多い土地。

この対比も哀愁を引き立たせていますね。

 

ロードムービーはあまり観ないので、新鮮でした。

それでは、、

 

P.S

パリ、テキサス』にインスパイアされたであろう山下智久のシングル『愛、テキサス』。

作詞がティカ・α(やくしまるえつこ)、作曲が永井聖一という大好きな相対性理論コンビなのですが、歌詞のストーリーに2人登場しているのか、3人登場しているのかわからない不思議さが癖になります。

以前、やくしまるえつこによるセルフカバーの動画をどこかで聴いた気がするのですが、現在どこを探しても見つからず、、

もし知っている方がいらっしゃれば教えて下さい。

 

youtu.be

MVも見当たらず、転載動画しかないのですが載せておきます。