式部日記

多趣味人間の雑記。

LIVE | 宇多田ヒカルSCIENCE FICTION TOUR2024 0713福岡

ごきげんよう、式部です。

先日7月13日福岡マリンメッセにて、宇多田ヒカルSCIENCE FICTION TOUR2024に参加したので、今回はその感想です。

 

※曲のネタバレを含んでいるので、気になる方はご遠慮下さい。

 

www.utadahikaru.jp

 

感想に入る前に、私と宇多田ヒカルとの出会いについて簡単に語らせて下さい。

幼稚園生くらいの頃、テレビに映る宇多田ヒカルのMVを見て、格好良いと感じたがきっかけでした。

SFアニメの好きだった私は空飛ぶバイクに乗ったり、PINOロボットがでてくるMVが、とにかく自分の好きなものとマッチしていてとにかく憧れでした。

当時幼かったので、テレビにでてくる歌手の見分けがつかなく、「歌手=宇多田ヒカル」くらいの認識でした。

幼き頃の私の夢は、ずっと「宇多田ヒカルになること」でした。

(※歌手という職業の認識がなかったので、笑)

 

youtu.be

 

youtu.be

 

感想

シンプルイズベスト、ミニマルな光と音で始まり、一機に緊張感と期待感が高まる演出でした。

そこから1曲目「time will tell」で、溢れる多幸感。

個人的には今回のセットリストに含まれているとは思ってなかった曲なので、驚きました。最新曲の「何色でもない花」が1曲目かなぁと予想していたので、良い意味で予想に反したオープニングでした。

 

前半戦は、昔の曲が多く古参ファンはきっと懐かしかったのではないでしょうか?

前半は緊張していたのか、機械の調子が悪かったのか?テンポやピッチが若干甘い部分もありましたが、逆に宇多田ヒカルもちゃんと人間だったんだという安心感もありました。笑

(そもそもの歌唱力が人並みではないので、多少ピッチがずれても上手いなぁという印象でした。あとやっぱり宇多田ヒカルの曲って音程難しいんよ、、)

 

5曲目、「光(Re-Recording)」は本当に神秘的でスモークの演出も素敵でした。

アルバムで聴いた時から、儀式的な美しさのあるアレンジだなぁと感じ、結婚式入場で絶対に使いたいと思っていました。

色で例えると、オリジナル版は黄色、Re-Recording版は濃い紫(青+赤)のイメージでした。

今回のライブの演出では赤いライトを使用したので、ドラムの音も相まって、新しい生命の誕生を思わせる美しさでした。

 

7曲目の「DISTANCE」は、まさかのm-flo remix verで会場がおしゃれなダンスフロアーの雰囲気に、、。バックバンドのアレンジも超お洒落でした。

特にピアノの間奏がお洒落すぎました。

続く、「teaveling(Re-Recording)」もお洒落すぎて、テンションMAXでした。ノリノリでセンターステージにでてきたヒッキーとても可愛かったです。

 

9曲目の「First Love」で一気にしっとりとした雰囲気に、

バラードになると、歌唱力と歌声の良さで鳥肌がすごかったです。

高音の部分もスッと染み込んできました。

耳が心地よすぎた、

 

続く「Beautifl World」では、実は宇多田ヒカルエヴァに出演していたのでは?碇ユイなのでは?と思うほど、曲の良さと宇多田ヒカルがリアルな世界に存在する事のギャップで不思議な気分でした。

 

12曲目「ぼくはくま」可愛すぎ!!!

申し訳ないけど、他の曲に比べ思い入れの少ない曲。

今回のセットリストに含まれているとも予想していなかったので、イントロ流れた瞬間驚きました。

その前に演奏した「COLORS」が格好良かったから、余計に差が凄くて、、

一気にほんわかしたムードが漂い癒されました。

(ただ、この流れで「パクチーの唄」きたらどうしよう?と一瞬悩みました。)

 

14曲目の「Kiss&Cry」はバックバンドのカッコよさが際立っていたし、

例の"リストカット"聴けて「例のやつだ!!」とテンションあがりました。

上位で好きな曲だけど、これも今回演奏するとは思っていなかった為純粋に嬉しかったです。

やっぱりこの曲お洒落だよなぁ~~

 

15曲目の「誰かの願いが叶うころ」は、鳥肌が立つほど感動しました。

もともと歌詞やメロディーが美しいのは勿論のこと、

とにかく歌声が素晴らしくて、聴き入ってしまいました。

会場には、圧倒されて棒立ち状態になっている人多々いましたね、笑

私もその1人です。

 

ここで映像タイムに入り、くまちゃんイラストによる可愛い映像が流れました。

 

衣装替えがあり、後半戦は最近の曲多めの構成でした。

 

後半戦1曲目の「BADモード」は衣装の雰囲気にも合っていて、「BADモード」というタイトルの曲なのに多幸感が溢れていました。

「BADモード」のMVは赤い照明の美しいお洒落な映像でしたが、今回のLIVEでは虹色って雰囲気でした。

 

18曲目の「花束を君に」の前のMCで、「みんなでお祝いという意味を込めて歌いたい」と話し、柔らかな雰囲気ではじまりました。

 

19曲目の「何色でもない花」は、とにかく静かな演奏と淡々と続くメロディーが美しく、シンプルな演奏だからこそ歌声の良さが染みわたってきました。

CDだけでは感じることのできなかった音や歌声の揺らぎを感じ、シンプルだけど故に難しい曲というのをより実感しました。

 

20曲目の「One Last Kiss」では冒頭の歌詞が、LIVE中の観客にとっての宇多田ヒカル追体験しているようで感動しました。

「あなただけのモナ・リザ、もうとっくに出会ってたから」という歌詞が、今まさに、宇多田ヒカルが観客にとってのモナ・リザで、ミューズなのだ。と感じたし、

「忘れたくない人」という歌詞も今日のLIVEのことを生涯忘れたくないと強く感じさせられました。

 

21曲目の「君の夢中」では、セットも相まってどこか神秘の森の中をあるいているかのような雰囲気でした。バスドラムの音も神秘的で、

曲終わりにフラっと手を振っていなくなってしまった宇多田ヒカルが、やっぱり幻の存在なのではないかと感じてしまいました。

 

美しい緑のライトのままご本人が退場してしまい、すぐアンコールを求める拍手が会場に響き渡りました。

 

暫くして、バンドメンバー、ご本人のご登場。

 

アンコールは2曲。

アンコール1曲目は、アルバム最新曲「Electricity」

この曲めちゃくちゃ聴きたかった曲だったので嬉しかった。

本当に歌詞が良い。

私はスピリチュアルとかよく分からないけど、「自身が実は違う宇宙からこの地球にやってきたのではないか?」と妄想する事があるので、自身の心情とシンクロしやすい曲なので勝手に心躍ってました。

 

恒例のバンドメンバーの紹介があり、

LIVE最後の曲は、デビュー曲「Automatic」。

これぞ宇多田ヒカルだ、衝撃のデビュー曲だ、今日のLIVEに立ち会えてよかった、という喜びとグルーヴに包まれました。

バックバンドのアレンジも最高にかっこよく、宇多田ヒカル独特のフェイクと「It' Automatic」というフレーズで会場の一体感が最高になったまま終了。

 

全体を通して

今回のLIVEは、女神様に会ったかのような体験でした。

1曲1曲に本当に思い入れがあり、キラキラ輝いて見えました。

長年宇多田ヒカルに憧れて、やっと参加できたLIVE。

貴重な25周年記念に立ち会えて本当に幸せでした。

 

※結構急ぎで書いたので、殴り書き気味ですがとりあえずの感想です。

 

 

 

それでは、、

 

 

 

 

展示感想 | 『デ・キリコ展』

ごきげんよう、式部です。
先日東京都美術館にて、「デ・キリコ展」を鑑賞したので今回はその感想です。
ネタバレ含むので、気になる方はご遠慮下さい。

 

dechirico.exhibit.jp

 

デ・キリコとは

イタリアの画家、彫刻家。

形而上絵画派を興し、後のシュルレアリスムに大きな影響を与えた。
一時はシュルレアリスムグループと親交があったが、後に決別する。

 

今回の展示について

初期から描き続けた自画像や肖像画から、 画家の名声を高めた「形而上絵画」、西洋絵画の伝統に回帰した作品、そして晩年の「新形而上絵画」まで、世界各地から集まった100点以上の作品で デ・キリコ芸術の全体像に迫る大回顧展です。

*1

 

展示の様子

※今回は撮影禁止だったので、いつも勝手にお世話になっているTokyo Art Beatさんの動画を置いておきます。

 

youtu.be

 

感想

建物やインテリア好きの私は、以前からキリコの絵に惹かれてはいましたが、

今回の展示でより一層キリコの職人っぽさに惹かれました。

 

(以前のエゴン・シーレ展はまじで何だったんだという文句は若干浮かびましたが、

今回の展示が良かったのでまぁ良しとしましょう。)

 

特に好きだった作品は、no,20 『燃え尽きた太陽のある形而上的室内』

乱れた遠近法、室内画、幾何学的、隠喩的なモチーフなどザ・キリコ感があって好きです。

また、"燃え尽きた太陽"が何となく引っかかり、ある音楽を思い出してしまいました。

あの太陽が偽物だって

どうして誰も気付かないんだろう

このフレーズで同じみ?のPeople In The Box『ニムロッド』です。

 『燃え尽きた太陽のある形而上的室内』では、太陽や月にコードのような線が繋がっていたり、カラーの太陽と燃え尽きた太陽が繋がれていたり、

どこか不穏な雰囲気を放っています。

また絵の中に更に絵がある入れ子構造のような絵になっており、

目に見える世界と真実が違う事を示しているようにも思います。

つまり”偽物の太陽”のようにも感じます。

キリコの絵には、哲学的思想から影響を受けているものも多く、『ニムロッド』の歌詞は神話モチーフのワードが出てきます。

 

キリコの絵のBGMとしてPeople In The Boxを採用したいくらいの親和性があります。

 

youtu.be

 

独特な不穏さ、幾何学、匿名性など、キリコの絵の特徴はどことなくSFを感じさせます。

是非映画好きにも観て頂きたいな、、

 

 

それでは、、

*1:公式HPより引用

映画・ドラマ感想 | 『花とアリス』

ごきげんよう、式部です。

先日映画『花とアリス』を鑑賞したので、今回はその感想です。

ネタバレを含むため、気になる方はここでUターンして下さい。

 

Amazon.co.jp: 花とアリスを観る | Prime Video

 

概要

2004年公開、監督岩井俊二による日本映画。

長編、短編の2つが存在し、岩井俊二本人によるコミカライズ作品が出版され、2015年に前日譚となる関連作品『花とアリス殺人事件』がアニメーション映画化された。

 

キャスト・スタッフ

荒井花:鈴木杏
有栖川徹子:蒼井優
宮本雅志:郭智博
黒柳健次:平泉成
堤ユキ:木村多江
有栖川加代:相田翔子
加代の連れの男:阿部寛
編集者現場担当:広末涼子
リョウ・タグチ:大沢たかお
池田沙織:伊藤歩
楠木れんこ:ふせえり
洩津当郎:坂本真
部活見学受付:池永亜美
文化祭司会:相坂真菜美
佐藤拓哉:石川伸一郎
アリスの同級生:篠原さや
荒井友美:キムラ緑子
オーディション演技審査:中野裕之
オーディション演技指導:大森南朋
演技オーディション参加者:虻川美穂子
「サルとルー」面接官:森下能幸
ルー大柴ルー大柴
室伏エリカ:アジャ・コング
CM撮影スタッフ:梶原善
CM撮影スタッフ:笠原秀幸
叶美香叶美香
泣きの演技指導者:吉岡秀隆(声のみ)
医者:テリー伊藤
町田梓:松田一沙
HARUMI:松尾れい子
双子のモデル:児玉真菜
矢上風子:黒澤愛
デイヴ:Dave Lee(デイヴ・リー)
祭りのおじさん:城明男
修行する外人:Nnikolai Iensen(ニコライ・イェンセン)
修行する外人:Luis Cerda(ルイス・セレダ

 

監督・脚本・音楽・プロデューサー:岩井俊二
撮影監督:篠田昇
撮影:角田真一
美術:種田陽平
照明:樋浦雅紀、中須岳士
録音:岸直隆、益子宏明
スチール:アイビー・チェン
視覚効果:伊藤太一
スタイリスト:申谷弘美
バレエ指導:千歳美香子
落語指導:古今亭菊之丞
アソシエイトプロデューサー:前田浩子
ラインプロデューサー:中山賢一

 

感想

所謂「恋か友情か?」みたいなストーリーではあるが、所々に歪を感じる作品。

特にアリスサイドは、離婚や家の散らかり具合、母親の男癖など、その歪を顕著に感じた。

アリスは家庭内においても、恋愛においても誰かに譲ってしまい、自ら何かを欲しがることをあきらめているようにも見えた。

だからこそ、海辺のシーンでハートのエースを見つけた事が、アリスにとっては最大のラッキーであり、チャンスであったのだろう。

 

一方花には精神的な歪さを感じた。

物語の終盤で明かされるが、アリスが花をバレエ教室に誘い出すまで、花は不登校状態で人とかかわる事を苦手としていた。

先輩へのアプローチも上手にできず、盗撮や度々嘘を重ねたりと人との関わりでやってはいけない事をコンプリートしにいっている。

大げさな嘘をつく所から、虚勢や自分への自信のなさも伺える。

先輩に過去の事を聞かれた際も、まるで第三者が語るかのような口調で話しており、明らかな嘘をつく所も関心した。

 

だからこそ、花が宮本先輩に嘘を告白し宮本先輩がそれを受け入れた時はかなり驚きました。

そもそもで宮本先輩は花の事を生理的に少し苦手な状態であったし、

「先輩は記憶喪失だ」「自分は先輩の彼女だ」などの大嘘をつかれたら普通にその時点で嫌悪感を抱くものだと思う。

(私が宮本先輩の立場なら、花の事を心底気持ち悪く感じ拒否すると思う。)

宮本先輩に関しては、変な夢をみたり度々幻覚で倒れるシーンもあったので、花やアリスとはまた違った不安定さがあり、だからこそ花の事も受け入れたのかなぁと解釈しました。

 

ストーリーにはあまり惹かれませんでしたが、やはり映像の美しさや所々に感じられる歪に人間らしさを感じる作品でした。

コミカライズやアニメーションなどの関連作品もでているので、

そちらも鑑賞するとまた違った観方ができるかも知れないですね。

それでは、、

 

 

映画・ドラマ感想 | 『パーフェクトブルー』

ごきげんよう、式部です。

先日映画『パーフェクトブルー』を鑑賞したので、今回はその感想です。

ネタバレを含んでいる為、気になる方はここでUターンして下さい。

 

https://amzn.to/3PitVTL

 

概要

1997年公開、監督今敏によるアニメーション映画。

竹内義和の小説『パーフェクトブルー-完全変態』を原案としているが、内容は大きく異なる。

 

キャスト・スタッフ

霧超未麻:岩男潤子

日高ルミ:松本梨香

手嶋:秋元洋介

渋谷貴雄:塩屋翼

桜木健一堀秀行

落合恵理:篠原恵美

監督:染田清之

AD:津久井教生

田所:辻親八

矢田:古澤徹

雪子:古川実子

レイ:新山志保

内田守:大蔵正章

村野:江原正士

土井正:陶山章央

電脳戦士パワートロン:遠藤孝一(レッド)、保志総一朗(グリーン)、谷山紀章(ブルー)

タク:三木眞一郎

サラリーマン:細井治

子ども:田野恵、本井英美

レポーター:南かおり北野誠

司会者:ショッカーO野

 

監督・キャラクターデザイン:今敏

脚本:村井さだゆき

企画:岡本晃一、竹内義和

企画協力:大友克洋、樋口敏雄、内藤篤

プロデューサー:中垣ひとみ、石原恵久、東郷豊、丸山正雄井上博

キャラクター原案:江口寿史

演出:松尾衡

作画監督・キャラクターデザイン:濱州英喜

色彩設計:橋本賢

美術監督:池信孝

撮影監督:白井久男

音楽:幾見雅博

音楽プロデューサー:斎藤徹

音楽A&Rプロデューサー:堀正明

振付:IZUMI

音楽監督三間雅文

音響効果:倉橋静男(サウンドボックス)

制作総指揮:鷲谷健

アニメーション制作:マッドハウス

 

感想

主人公未麻がアイドルから女優に転身してから、未麻の周りに次々と殺人事件が起こっていくサスペンス。

本編の中に登場するドラマ『ダブル・バインド』が、本編のストーリーを辿るような入れ子構造になっており、現実なのか?夢なのか?ドラマの中の出来事なのか?混乱するような演出が面白い。

殺人に未麻も関与しているのではないか?

ラストの未麻の「私は本物だよ」の意味は何か?

ラストの鏡に映った未麻は本物か?

など様々な疑問が残ります。

 

私がこの映画を観て思い出したのが、「自分の存在は自分自身で『私は私である』と決定しなければ存在しない。浮遊した存在である」という説です。

 

未麻はドラマ『ダブル・バインド』の内容や置かれた状況から、自分が本当に朝霧未麻なのか?と疑心暗鬼になっていました。

又、”アイドルの未麻”(過去、ヴァーチャル)と”女優の未麻”とのギャップから、どちらが本当の自分なのか?と答えを出したがっていたようにも思います。

従って、『私は私である』と決定できず、存在が浮遊した状態だったのではないでしょうか?

そう考えると、ラストの台詞である「私は本物だよ」は、やっと自己の存在を自分で認識したという意味かも知れません。

 

デカルトの『方法序説』の命題「我思う、故に我在り」にも少し似ていますね。

(「自分は本当は存在しないのではないか?」と疑う自分自身は確かに存在する。考える私は確かに存在する。コギト)

 

一方ルミの視点から連想したのが、藤本タツキ先生の漫画『ファイアパンチ』に登場する台詞「人はなりたい自分になってしまう」です。

 

[1話]ファイアパンチ - 藤本タツキ | 少年ジャンプ+

 

ルミは”アイドルの未麻”を理想とし、自分と重ね合わせ演じていた。

(webサイト「未麻の部屋」はルミが運営していた事から、ルミが多少なりとも未麻を演じていたと言える。)

「なりたい自分=アイドルの未麻」を演じる内に、本当にアイドルの未麻に成り代わってしまうというのは、漫画『ファイアパンチ』でも似たような事が起きていた。

(ファイアパンチ内では、一部演じさせられていた部分もありますが、)

 

2人体制になったCHAMのステージに、突然”アイドルの未麻”が登場するシーンがありますが、このシーンでの未麻はルミだったのではないかと思います。

 

「なりたい自分」や「現実との乖離」、「自己存在認識」など面白いテーマが盛り込まれている映画だったので、様々な思想論などを基に読みといてみるのも面白いかも知れません。

更に、「夢と現実」というテーマも加わっているので、夢分析精神分析的な観点から鑑賞するとまた違ったものが見えてきそうです。

それでは、、

映画・ドラマ感想 | 『東京ゴッドファーザーズ』

ごきげんよう、式部です。

先日映画『東京ゴッドファーザーズ』を鑑賞したので、今回はその感想です。

ネタバレを含んでいる為、気になる方はここでUターンして下さい。

 

amzn.to

 

概要

英題:Tokyo Godfathers

2003年公開、監督今敏によるアニメーション映画。

 

キャスト・スタッフ

ギン:江守徹

ハナ:梅垣義明

ミユキ:岡本綾

清子:こおろぎさとみ

太田:飯塚昭三

母さん:加藤精三

泰男:石丸博也

老人:槐柳二

ミユキの父:屋良有作

幸子:寺瀬今日子

ギンの娘(キヨコ):能登麻美子

医者:大塚明夫

新郎:小山力也

胡蝶沢:犬山犬子

山之内:矢原加奈子

猫ババ:柴田理恵

タクシー運転手:山寺宏一

 

原作・監督・絵コンテ:今敏

企画:丸山正夫

脚本:信本敬子今敏

キャラクターデザイン:小西賢一今敏

演出:古屋勝悟

作画監督小西賢一安藤雅司井上俊之

美術監督:池信孝

美術監督補佐:猪田薫、伊奈淳子

色彩設計:橋本賢

色彩設計補佐:鳥形昌子

撮影監督:須貝克俊

編集:瀬山武司、木村佳史子

タイトルロゴ::山下京子

音楽:鈴木慶一ムーンライダーズ

音楽制作:エガリテ ムーンライダーズ ディビジョン

音楽監督三間雅文

音響効果:倉橋静男

キャスティングマネージャー:柏倉ツトム

録音スタジオ:アオイスタジオ

音響制作:テクノサウンド

制作プロデューサー:豊田智紀

制作進行:吉野智美、渡邊和夫、高橋亮

アニメーション制作:マッドハウス

プロデューサー:小林信一、滝山雅夫、真木太郎

アソシエイトプロデューサー:増田弘道、森島太郎、千野毅彦、横山真二郎、神部宗之

 

感想

今敏作品にしてはファンタジー要素が少ない作品。

”家族”が大きなテーマとなっており、様々な家族の在り方が描かれていた。

個人的感想として、清子(捨てられた赤ちゃん)は本当に運が良かった訳ではなく、

周囲の人間が清子に愛を与えていたから運が良く見えたのだと思う。

つまり、周囲の清子に対する肯定感、捉え方が幸福であっただけである。

清子が本当に運が良く神に愛されていたなら、そもそも本当の母親から盗まれたりしないし、拾われたのもホームレスではないはず。

清子の状況だけみれば不幸だとも言える。

清子を拾ったホームレス3人も、清子に出会ったことで度々事件に巻き込まれている。

しかし、ハナ(ホームレスの1人)が「きっと神様に愛されている」「愛をいっぱい受けてほしい」と願い、ギンとミユキもなんだかんだ清子の事を大切に思って行動していた故に、”不幸中の幸い”を何度も経験し、それを”幸運”であると感じたのだ。

なんとなく心温まるストーリーとコミカルな展開が特徴的な本作品だが、

「すべての子どもたちは幸福になる為に生まれてきた」と感じさせてくれる作品でもあった。

 

またクリスマスの時期に観返したい作品です。

それでは、、

 

 

 

改めて『無罪モラトリアム』を聴く。

ごきげんよう、式部です。

先日2月24日に椎名林檎のアルバム『無罪モラトリアム』発売から25周年が経ちました。

 

natalie.mu

 

という事で、今回は改めて『無罪モラトリアム』を聴いていき、自分なりの感想などを述べたいと思います。

発売当時の事など知らない事も多いので、随時Wikipediaページ 無罪モラトリアム - Wikipedia

などwebサイトを参考にしています。

 

概要

発売日:1999年2月24日

収録時間:41分00秒

椎名林檎ファーストアルバム。10代の頃に制作された曲で構成されたアルバムとなっている。

 

アルバムコンセプト

人として真面目に生きていこうとする以上、社会に適合できないモラトリアムな瞬間はきっと誰にでもあり、それも無罪であると主張したいという思いが込められている。

 

アートワーク

ジャケットデザイン・アートディレクター:木村豊

www.central67.com

 

ジャケット写真を自分が完全に浮いてしまっている場所で撮りたいと思っていた椎名林檎が「裁判所などで弁護士が『無罪』や『勝訴』という文字が書かれた幡(ハタ)を関係者たちに囲まれて掲げているところに自分がポツンといたら面白いのでは」というアイデアを出し撮影された。

幡の題字は椎名林檎本人の字。

 

レコーディングについて

ディレクション椎名林檎本人とベーシスト亀田誠治

シンプルなバンドサウンドで、主に2つのバンドを編成し使いわける手法。楽曲に応じて、必要なストリングスなどを追加している。

基本的には「バンド演奏による一発録り」で現場のセッション形式を、そのままパッケージ化。

 

絶倫ヘクトパスカル

声、生ドラム(M-2)、手、口笛:椎名林檎

電気式ギター、生ギター:西川進

電気式ベースギター:亀田誠治

生ドラム(M-1、3-11)、超え、手:河村智康

M-1、2、4、6、8、11

 

桃色スパナ

声、なんちゃって御琴、口笛:椎名林檎

電気式ギター、生ギター、声指導:鈴木玲史

電気式ベースギター:亀田誠治

生ドラム、すべからくコンガ:河村智康

→M-5、7、9、11

 

絶叫ソルフェージュ

声、生ピアノ、けんばんハーモニカ、手足:椎名林檎

電気式ベースギター、声:亀田誠治

生ドラム、声、手足:河村智康

→M-3

 

ゲスト

電子ピアノ(M-1、10)、ピアノ(M-5):森俊之

ヴァイオリン(M-9):斎藤ネコ

ストリングス(M-1、5):金原千恵子ストリングス

電子ピアノ(M-8):矢代恒彦

 

収録曲

open.spotify.com

 

MV

youtu.be

 

youtu.be

 

youtu.be

 

感想

全体を通して

やはり椎名林檎10代の集大成アルバムであるため、少女が女性になる間、その葛藤みたいなのを感じる。

又、上京物語のようなものも感じ、「正しい街」=地元(福岡)で別れを経験し、

歌舞伎町で声を掛けられたり、丸の内で安月給で働いたり、

想像していたような東京ではなく、

自己実現できない自分に焦燥感を感じながら、地元にいた頃と「同じ夜」を繰り返す。

というストーリーを連想してしまいます。

 

M-1:正しい街

「君が周りを無くした~」というBメロから入ってくる警告音のようなギター?の音が滅茶苦茶好きです。

歌詞も相まってお互いのエゴをぶつけあう様子が、この音によって強調されているように感じます。

 

M-2:歌舞伎町の女王

イントロや歌詞から昼ドラが始まったかのような雰囲気が特徴的です。

椎名林檎のストーリーライター的な能力が光る1曲だと思います。

イントロなど特徴的なリフをギターが引っ張り、Aメロでベース、Bメロあたりからドラムが乗ってくるという構成。

 

M-3:丸の内サディスティック

初めて聴いた時、サディスティックとタイトルについているのに、

逆にマゾヒスティックな曲じゃないか!!と若干憤っていました。

只、丸の内マゾヒスティックだと格好つかないし、丸の内という街やそこでの生活に鞭うたれているという意味のサディスティックなのかな、と勝手に解釈しています。

間奏のベースソロ痺れます。。

 

M-4:幸福論-悦楽編

とにかく歌詞が可愛い。シングルとは異なるアレンジでアルバム収録されていますが、個人的にはシングルの方が可愛らしくて好きです。

謎の絶叫やカウントが終盤で入るのだが、少し狂気的にも聴こえる。

”悦”楽とついているように、自己満足な幸福(悦に浸っている状態)を表現しているのかも知れない。

 

M-5:茜さす 帰路照らされど...

アルバムの中でこの曲が1番好きって方も多いのではないかと思う。

「ヘッドフォンを耳に充てる ファズの利いたベースが走る」という歌詞が、リスナーとリンクする二重構造のようになっていて面白い。

又、歌詞も曖昧な表現しかなく、様々な人に当てはまるようになっている。

とにかくなんとなく切ない、ゆっくりと沈む夕焼けのような曲。

 

M-6:シドと白昼夢

個人的にはかなり好きな曲。

同アルバム『同じ夜』の歌詞内に「自己実現」という言葉が出てくるが、

この曲こそ「自己実現」を表した曲ではないか?と思う。

子どもの頃って何となく夢見がちで、他人と自分の境界が曖昧であるが、

思春期を通じて自己の輪郭が見えてくる。

自己と他者の違いを認識する。

サビの「あなたの髪を切らなきゃ」は早く白昼夢から抜け出せ、と言われているようにも聴こえます。

 

M-7:積木遊び

ベースイントロと間奏部分のなんちゃって御琴(シンセサイザー)が格好良い。

LIVEでも振付あったり、音作りや歌詞も遊び心に溢れており面白い楽曲。

なんとなく芸者さんの遊びを連想させます。

 

M-8:ここでキスして。

全体を通して可愛らしい歌詞ですが、特に1番Aメロ2番Bメロの歌詞が好きです。

1番A「あたしは絶対あなたの前じゃ さめざめ泣いたりしないでしょ

これはつまり常に自分がアナーキーなあなたに似合う為」

2番B「そりゃ あたしは綺麗とか美人なタイプではないけれど こっち向いて」

ちょっと自信のない感じや強がり、背伸びしている感じが伝わってきて可愛いです。

又、「アナーキーなあなた」「現代のシド・ヴィシャス」などのワードから、あなたの性格に想像を膨らませる事もできます。

 

M-9:同じ夜

ヴァイオリンの音による哀愁やノスタルジーを感じる1曲。

「空は明日をはじめてしまう 例えあたしが息を止めても」という諸行無常が描かれており、同じ夜の中で変化する人間の心のうつりかわりにハッとする1曲です。

 

M-10:警告

ギターのリフが格好良い、

最後のワンフレーズ「「馬鹿にしないで」って云いたい」が、山口百恵さんの「プレイバック」を連想してしまいます。

 

M-11:モルヒネ

モルヒネは、アヘンから生成される麻薬性鎮痛薬の事であり、主に医療行為で使われます。麻薬の1種であるため、製造や使用方法、所持についても法律で決められています。

やわらかな曲調とは対照的に、意味深なタイトルや歌詞。

様々な解釈のできる歌詞ですが、脳の中に麻薬物質を排出する事で、なんらかの「痛み」を鈍らせているという事だけ理解できます。

個人的解釈としては、「大人の女性になった曲」もしくは「貴方の自殺」ではないかと考えています。

(※正解は作った本人にしか分かりませんし、それぞれ好きな解釈で良いと思います。)

 

改めて

改めて全体を通してしっかり聴いてみると、新しい発見や今までとは違った解釈ができて楽しかったです。

特にアルバムの終盤に入っている『同じ夜』『モルヒネ』などは、なんとなく良い曲だなぁと聞き流しがちだったので、今回しっかり歌詞カードを見ながら聴いてみて、また曲の印象が変わりました。

 

それでは、、

 

P.S

無罪モラトリアム』発売25周年を記念して書かれたインタビュー

発売から25年。椎名林檎『無罪モラトリアム』はなぜ衝撃と呼ばれたのか─亀田誠治が語る「ないがち」な革命 | J-WAVE NEWS では、アルバム制作を一緒に行った亀田さんからの視点が語られていて、ほっこりします。

 

 

 

 

 

 

 

ドラマ・映画感想 | 『恋する惑星』

ごきげんよう、式部です。

先日映画『恋する惑星』を観たので、今回はその感想です。

ネタバレを含んでいる為、気になる方はここでUターンして下さい。

 

https://amzn.to/3Th6Ini

 

概要

原題:重慶森林

1994年公開、監督ウォン・カーウァイによる香港映画。

舞台は香港の九龍、尖沙咀にある雑居ビル・重慶大厦。

この映画がアメリカの映画製作者クエンティン・タランティーノに評価され、アメリカでの配給権を獲得した。

 

キャスト・スタッフ

警察663号(店主は633と呼ぶ):トニー・レオン

フェイ:フェイ・ウォン

謎の金髪女性:ブリジット・リン

モウ:金城 武

スチュワーデス:チャウ・カーリン

 

監督・脚本:ウォン・カーウァイ

製作:ジェフ・ラウ

製作総指揮:チャン・イーチェン

美術:ウィリアム・チャン、アルフレッド・ヤウ

編集:ウィリアム・チャン

   カイ・キットウァイ

   クォン・チリョン

撮影:クリストファー・ドイル

   アンドリュー・ラウ

音楽:フランキー・チェン

   ロエル・A・ガルシア

   マイケル・ガラッソ

 

感想

2部構成になっており、どちらも”期限”がテーマであったように思う。

1部では、”愛の賞味期限切れ”。

2部では、”期限の延長”。

1部で出てきた賞味期限というイメージが、2部では搭乗日という未来のイメージになるのもおしゃれです。

 

キャストで印象に残ったのは、1部でモウを演じた金城武さん。

本編中にいくつかの言語を使いこなしているのが印象的でした。

物語の舞台である香港は広東語が広く使用されていますが、

1部で出てきた金髪の女性に話しかける際北京語に変えたのも、

香港映画ならではだなぁと感じました。

 

又、ウォン・カーウァイ監督の別作品『天使の涙』は、

本来『恋する惑星』の一部として考えられたストーリーらしく、

そちらとの繋がりも気になるところです。

 

それでは、、