ごきげんよう、式部です。
先日映画「PiCNiC」を鑑賞したため、今回はその感想です。
ネタバレを含んでいる為、気になる方はここでリターンして下さい。
概要
1996年公開、監督岩井俊二によるショートフィルム映画。
当初1994年公開予定であったが、この時期に起こった事件の影響で公開が先送りとなった。
キャスト・スタッフ
ココ:Chara
ツムジ:浅野忠信
サトル:橋爪浩一
牧師:鈴木慶一
看護長:六平直政
女医:伊藤かずえ
看護師:山本ふじこ
看護婦:佐山真理
看護婦:武藤寿美
患者エキストラ:へらちょんぺ
監督:岩井俊二
脚本:岩井俊二
製作:堀井壽一
田中迪
音楽:REMEDIOS
感想
音楽や絵の美しさに対して、物語が残酷でそれが互いに際立ったいるような作品。これぞ岩井節、という感じです。
特に残酷だとかんじたのは、精神病棟を脱走したココとツムジが罰として保護室送りになるシーン。
体を縛り付けられ、無理やり注射を打たれるのは医療行為とは言え、めちゃくちゃ怖いです。
更にツムジに関しては、恐らく性に対するトラウマを抱えているにも関わらず、監禁中に女医から襲われるシーンもありました。メインキャラクターの中で特にトラウマを常に感じ、救われたいと願っているツムジが、1番かわいそうな目にあっている気がして、見ているこちらも苦しかったです。
サトルの死亡シーンもなかなかショッキングでした。
「塀だけを歩く」という子供どものゲームに脱落してしまったかのようですし、ゴキッ、ゴキッっという骨の音が壊れた人形のようにも見えて、サトルが子どもであるが故に起こった結末のように思えました。
演技のリアルさ、焦点がずっと合わない感じ、美しい緑に似合わない血の赤。優しい音楽と骨の音。人の命の儚さ。
色んな感情が一機に押し寄せてきました。
本編において、ココとツムジは徹底して対照的に描かれています。
ココは黒、ツムジは白、ココは天使、ツムジは人間。
自分を信じる、神(聖書)を信じる。
救いたい、救われたい、
共通項もあり惹かれ合った2人でしたが、最後のココの自殺によってどんなに惹かれ合っても他人なのだ、と個人的には感じました。
ココの自殺はココ本人にとっては救いとなり罪の精算をしたつもりだと思いますが、
残されたツムジにとっては新たなトラウマの誕生、新しい絶望なのではないか?と感じました。
(一応この映画はココが主人公?ですが、個人的にはツムジが心配で溜まりません。)
短い作品ですが、本当に見所の多い映画です。
まだ観れていない岩井作品も鑑賞したいです。
それでは、、