ごきげんよう、式部です。
先日映画「カリガリ博士」を鑑賞したので今回はその感想です。
ネタバレを含んでいる為、気になる方はここでリターンして下さい。
概要
原題:Das Cabinet des Doktor Caligari
1919年制作、1920年に公開されたドイツのサイレント映画。
ドイツ表現主義映画の中で最も古いと言われている。
ドイツ表現主義とは
第一次世界大戦前~1920年代、ベルリンを中心に盛んになった芸術活動。
反自然主義、反印象主義とし、客観性よりも内面、精神的なもの、「目に見えないもの」を主観的に表現している。
絵画や音楽だけでなく、建築や舞踊、映画など多岐にわたる分野で流行した。
代表的な画家
フランツ・マルク
エルンスト・ルートヴィヒ
等
又、
エドヴァルド・ムンクなども同時代に活躍。
代表的な映画
『メトロポリス』(1927)
『吸血鬼ノスフェラトゥ』(1922)
『プラーグの大学生』(1913)
キャスト・スタッフ
カリガリ博士:ヴェルナー・クラウス
チェザーレ:コンラート・ファイト
フランシス:フリードリヒ・フェーエル
ジェーン:リル・ダゴヴァー
アラン:ハンス・ハインツ・フォン・トワルドウスキー
オルセン博士(ジェーン父):ルドルフ・レッティンゲル
監督:ローベルト・ヴィーネ
脚本:ハンス・ヤノヴィッツ
製作:エリッヒ・ポマー
撮影:ウィリー・ハマイスター
感想
フランシスの回想から始まり、夢遊病者を使って殺人を行うカリガリ博士を捕まえる話が繰り広げられ、まるで英雄譚や怖い話を見せられているかのようになったところで、
実はそれは精神に異常をきたしたフランシスの妄想であった事が分かる二重構造のような展開で驚いた。
最後にカリガリ博士(精神病院の院長)の顔のアップで終わる所も、まだ更に続きの物語があるのではないか?と思わされる。
個人的に好きだった場面は、カリガリ博士の日記の内容の回想シーン。
自身を「カリガリ」と名乗る事を決め名前を連呼するシーンがあるのだが、そこでの役者さんの不安定な足取りと、セットに「Chaligari」の文字が映し出される演出が、主観と客観が曖昧になっていく精神状態を表しているようで面白いと思った。
又、現代技術であれば編集で簡単にエフェクトをつける事ができるが、当時のセットやフィルムといった制限の中であの演出を思いついたのが素晴らしいと感じた。
モノクロフィルムのコントラストが強い為、どのシーンを切り取っても写真のような美しさがあるのも素敵だと感じた。
個人的にはかなり好きな作品にランクインしそうです。
それでは、、