式部日記

多趣味人間の雑記。

読書感想 | 浅野いにお『おやすみプンプン』

ごきげんよう、式部です。

先日人生初『おやすみプンプン』を読んだので、個人的な感想を書いていきたいと思います。

 

ネタバレを含む可能性があるので、気になる方はUターンしてください。

 

 

 

概要

出版社:小学館

連載:週刊ヤングサンデー(2007年~2008年)

   →ビッグコミックスピリッツ(2008年~2013年)

 

あらすじ

どこにでもいる少年プンプンの小学生から大人になるまでの人生や恋愛、家庭環境、その葛藤などが描かれた作品。

ヒロイン田中愛子への一目ぼれから物語がはじまる。

主人公プンプンとその家族は鳥のような姿で描かれ、その他のキャラクターやリアルな背景との差別化がされている。

又、読者にプンプンの姿を想像させたり、重ね合わせられるような仕掛けとなっている。

 

 

感想

先ず1番に感じた事は、「主人公クズだな」という純粋な思いでした。

よくこの漫画は「鬱漫画」や「ヒロインがメンヘラ」として紹介されますが、

個人的には「鬱」というよりも「現実社会のどこかで起こっている事実」、

「メンヘラ」というよりも「幼い共依存、そうなるしかなかったヒロイン」と感じました。

主人公プンプンも、正直どこにでもいる少年です。

少し傷つきやすいかも知れません。少し複雑な家庭環境かも知れません。

しかし、抗えないほどの運命を背負っていたり、生きていく上での大きな障壁があるわけでもありません。

私にとってプンプンは「勝手に殻に閉じこもって、勝手に傷ついて、依存できる相手を探している自分本位な人間」に見えました。

特にそう感じたのが、母親からの暴力で顔に傷をつけた愛子ちゃん(ヒロイン)が、

プンプンの家を訪ねてくるシーンです。

通常好きな人が傷ついていたなら、先ずその心配をすると思います。

怪我の手当をするなり、病院に連れていくなり、警察に相談するなり、、

私なら「どうしたの??その怪我?」と愛子ちゃんに尋ねると思います。

このシーンにおいて、プンプンは愛子ちゃんに対してそういった感情を一切見せず、

自分の感情ばかりなのです。(挙句の果てに頭の中は性行為の事ばかり。。)

(勿論、プンプンがあまり相手を思いやる事のできない精神状況であった事は多少理解できます。)

私は、プンプンを通じて「男性って皆こうなのか?気持ち悪い」と少し感じてしまいました。

 

次にヒロイン愛子ちゃんについてですが、「メンヘラ」の一言で片づけるのはあまりに短絡的であると感じます。

プンプンの家庭環境も少し複雑ではありますが、愛子ちゃんはそれ以上に複雑な家庭環境で育っています。

親が宗教にハマる、自分もそれに付き合わされる、暴力及びハラスメントを受ける。

自分ひとりで足掻いても、抜けだす事のない環境を強いられています。

だからこそ、自分を理解してくれそうな人に依存してしまう。

依存対象に対して強い言葉を使う。

(依存できる人を、本能的に利用しようとしたり、支配しようとしたりする。

これは生存本能故なのではと考えます。)

更に、事件前後の愛子ちゃんの精神的幼さが私はとても気になりました。

精神的に不安定な状況であった場面も多くみられますが、

客観的に自分たちの状況を考えられていなかったり、

プンプンからの暴力的な行為や言葉に対して性行為で解決しようとしたり、

幼さが見受けられます。

これは愛子ちゃんがそだった環境(宗教や暴力を受ける日々)によって、

自分で思考する事を放棄し続けた故ではないかと感じました。

そういった背景を考えると、とても「メンヘラ」の一言で片づけるのは難しいキャラクターだと私は思います。

 

おやすみプンプン』では複雑な家庭環境が沢山描かれていますが、

それらの環境は決してフィクションではないのです。

(物語自体はフィクションだが、現実社会で起こりうるという事。)

この物語は、複雑な環境で育つ事、その葛藤、そこから脱却する事の難しさを感じる事のできる作品です。

 

好き・嫌いは置いておいて、様々な人に読まれるべき作品であると感じました。

 

それでは、、